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法律の話題等を通じて皆様に私達が日々何を考え、思っているかを知っていただければ幸いです。
2025.06.06
【伊塚允耶】コラム
団体交渉の申入れがあったら
昨今、労働組合からの団体交渉の申入れが増加傾向にあると感じます。
現在では、企業内の労働組合ではなく、合同労組や地域ユニオンといった企業外の労働組合から団体交渉を申し込まれるというケースが主流となっております。
この場合、会社の長期安定経営を前提としていない要求も多いことから、手を焼いている企業も多いことと思われます。
突然に労働組合から団体交渉の申入れを受けた場合、使用者側が過剰に反応したり、感情的になるなど、団体交渉をしないで済むように消極的な対応を行いがちです。
しかしながら、団体交渉の申入れ直後の使用者側の対応のまずさに起因し、紛争が長期化する事例も多く見受けられるものです。
そのため、労働組合からの団体交渉の申入れがあった場合には、冷静な対応を心がけ、場合によっては弁護士にご相談いただくことが望ましいものと思われます。
現在では、企業内の労働組合ではなく、合同労組や地域ユニオンといった企業外の労働組合から団体交渉を申し込まれるというケースが主流となっております。
この場合、会社の長期安定経営を前提としていない要求も多いことから、手を焼いている企業も多いことと思われます。
突然に労働組合から団体交渉の申入れを受けた場合、使用者側が過剰に反応したり、感情的になるなど、団体交渉をしないで済むように消極的な対応を行いがちです。
しかしながら、団体交渉の申入れ直後の使用者側の対応のまずさに起因し、紛争が長期化する事例も多く見受けられるものです。
そのため、労働組合からの団体交渉の申入れがあった場合には、冷静な対応を心がけ、場合によっては弁護士にご相談いただくことが望ましいものと思われます。
2025.05.25
【阿部 哲茂】コラム
安全配慮義務違反
最近、業務上負傷した従業員が、会社に対し、安全配慮義務違反による損害賠償請求をする事案が増加しています。
業務上負傷したわけですから、特段の理由がない限り労災は認められますが、労災認定を受けた後、安全配慮義務違反を理由に会社に損害賠償を求めるという事案です。
労災が認められたからといって、必ずしも会社に安全配慮義務違反が認められるわけではなりませんが、訴えられるだけで会社としては不利益を被ります。
また、業務上負傷した場合には会社において何らかの安全配慮義務違反が認められるケースも多いのではないかと思われます。
過去の裁判例等を検索しますと、驚くような点に会社の安全配慮義務違反を認めている裁判例もありますので、ご注意ください。
業務上負傷したわけですから、特段の理由がない限り労災は認められますが、労災認定を受けた後、安全配慮義務違反を理由に会社に損害賠償を求めるという事案です。
労災が認められたからといって、必ずしも会社に安全配慮義務違反が認められるわけではなりませんが、訴えられるだけで会社としては不利益を被ります。
また、業務上負傷した場合には会社において何らかの安全配慮義務違反が認められるケースも多いのではないかと思われます。
過去の裁判例等を検索しますと、驚くような点に会社の安全配慮義務違反を認めている裁判例もありますので、ご注意ください。
2025.05.19
【木下結香子】コラム
経営者保証ガイドライン
先日、経営者保証ガイドラインに関する勉強会に参加しました。
企業の経営者が金融機関から融資を受けるとき、経営者個人が連帯保証人になる場合があります。経営者保証ガイドラインは、①経営者が保証人にならない融資の促進や、②経営者個人が保証債務の履行を求められた際の保証債務の整理について、中小企業・経営者・金融機関の自主的なルールを定めたものです。
勉強会では、②の場合(保証債務の整理)が取り上げられました。経営者保証ガイドラインによる大きなメリットは、経営者個人が自己破産をせずに保証債務の整理ができるという点です。
事業活動を終了せざるを得ない事態においても、経営者保証ガイドラインの利用も含め、最も適切な道筋をご提案できるよう、研鑽を積んで参りたいと思います。
企業の経営者が金融機関から融資を受けるとき、経営者個人が連帯保証人になる場合があります。経営者保証ガイドラインは、①経営者が保証人にならない融資の促進や、②経営者個人が保証債務の履行を求められた際の保証債務の整理について、中小企業・経営者・金融機関の自主的なルールを定めたものです。
勉強会では、②の場合(保証債務の整理)が取り上げられました。経営者保証ガイドラインによる大きなメリットは、経営者個人が自己破産をせずに保証債務の整理ができるという点です。
事業活動を終了せざるを得ない事態においても、経営者保証ガイドラインの利用も含め、最も適切な道筋をご提案できるよう、研鑽を積んで参りたいと思います。
2024.08.28
【大神 亮輔】コラム
司法修習生
縁あって、司法修習生(司法試験を合格した後、法曹になるための研修生のような立場の人です。)の指導担当をさせていただいています。
現在は無意識にしていることを「こういう意図があるんだ」と言葉で説明することで、こちらも改めて初心に帰れるので、指導する側のためにもなっています。
これまでのような机の上での勉強だけでなく、できるだけ多くの生の事件に触れてもらい、私が司法修習生だった時に指導担当をしてくれた弁護士を見て感じたように、司法修習生に「弁護士はやりがいがある仕事だ」と思ってもらいたいなと願いながら指導をしています。
現在は無意識にしていることを「こういう意図があるんだ」と言葉で説明することで、こちらも改めて初心に帰れるので、指導する側のためにもなっています。
これまでのような机の上での勉強だけでなく、できるだけ多くの生の事件に触れてもらい、私が司法修習生だった時に指導担当をしてくれた弁護士を見て感じたように、司法修習生に「弁護士はやりがいがある仕事だ」と思ってもらいたいなと願いながら指導をしています。
2024.08.09
【伊塚允耶】コラム
相続登記の義務化について
本年(令和6年)4月1日より、相続登記の義務化がスタートしております。
背景事情としては、所有者が判明しない土地や所有者の所在が不明で連絡が付かない土地が年々増えており、これにより民間取引、公共事業、災害復興の妨げとなっていたからです。
そのため、相続で不動産の所有権を取得した場合には、相続の開始を知って、かつ、所有権を取得したと知った日から3年以内に所有権移転の登記を申請しなければならなくなりました。
(遺産分割で異なる割合で所有権を取得した際は、その分割の日から3年以内の登記申請が義務付けられます。)
これらの申請を怠ると罰則があり、10万円以下の過料が科せられる場合があります。
今回の相続登記義務化については、相続の発生が令和6年4月1日より前であっても適用されますので、ご注意ください。
相続に関する手続きには、複雑で面倒な手続きが多くあります。
相続についてご不安な事柄がある場合には、弊所にご相談ください。
2024.02.10
【渡邊敬紘】コラム
労働契約に関するルールの変更について
労働者を雇い入れる場合には、労働契約を締結した上で、書面で労働条件を明示することになっていますが、この労働条件の明示に関するルールが2024年4月から変わることになっています。
特に、有期雇用契約では、無期転換ルールとの関係で、更新の回数(更新は3回まで)や上限年数(契約は3年まで)などと明示して契約することがありますが、必ずしも労働契約や労働条件通知書に記載されていないことがありました。
2024年4月1日以降においては、こうした更新の上限や回数をあらかじめ労働者に説明して、それを書面で明示しておくことが必要となります(労働者が希望すればメールなどで明示することもできます)。
更新上限の明示については、既に雇用されている有期労働者との関係の整理など複雑ですので、お困りのことがありましたら、弊所までご相談ください。
特に、有期雇用契約では、無期転換ルールとの関係で、更新の回数(更新は3回まで)や上限年数(契約は3年まで)などと明示して契約することがありますが、必ずしも労働契約や労働条件通知書に記載されていないことがありました。
2024年4月1日以降においては、こうした更新の上限や回数をあらかじめ労働者に説明して、それを書面で明示しておくことが必要となります(労働者が希望すればメールなどで明示することもできます)。
更新上限の明示については、既に雇用されている有期労働者との関係の整理など複雑ですので、お困りのことがありましたら、弊所までご相談ください。
2023.12.25
【渡邊敬紘】コラム
良い士業とは
最近、野村高文さん(Podcast Studio Chronicle代表)の配信されているポッドキャスト番組「経営中毒 〜だれにも言えない社長の孤独〜」を聞くのが日課になっています。
これは、経営コンサルタントの徳谷智史さん(Egg FORWARD(エッグフォワード)代表)をMCに迎えて、会社の経営者の方々が、普段は人に言えない悩みを赤裸々に語りながら、どのように経営課題に取り組んでいるのかをトークすることをコンセプトにしたポッドキャスト番組です。
先日(12月23日)、「『士業』の見極め方。税理士・弁護士、良い人は何が違う?」というテーマで配信され、本業にかかわるトピックであったため、早速拝聴しました。
そうしたところ、おおむね
1 法改正を常にフォローアップしていること
2 法改正を踏まえて、新しいスキームなどを提案できること
3 会社の事業に伴走できる交渉力があること
4 レスポンスが早いこと
の4点が揃っていればいい士業だ、というお話でした。
裏返せば、真逆の弁護士(法改正に疎い、提案営業できない、会社の事業に伴走できない、レスポンスが遅い弁護士)は経営者からは敬遠されるということでした。
このPodcast番組でも「弁護士もピンキリだ」という指摘があったように、司法制度改革によって法曹人口が激増し、毎年約1000人近くが弁護士登録している現状では、バッジを付けてからの自己研鑽によって、どれだけ付加価値を付けられるかが大きく問われる時代になってきています。
また、今年は、AI元年ともいえる年となり、生成AIに関する報道に多く接するようになりました。その中には、ChatGPTなどの生成AIによって将来的な弁護士業務は代替されるのではないかという指摘もありました。
しかし、弁護士として、リーガルマインドに基づいた助言をすること、また、依頼者の方のお気持ちにも配慮しながら望ましい解決を提案することは、まだまだ人間にしかできない仕事であると考えます。
今後とも、皆様に「良い士業だ」と評価していただけるように、今後とも良質なリーガルサービスを提供して参りたいと思います。
これは、経営コンサルタントの徳谷智史さん(Egg FORWARD(エッグフォワード)代表)をMCに迎えて、会社の経営者の方々が、普段は人に言えない悩みを赤裸々に語りながら、どのように経営課題に取り組んでいるのかをトークすることをコンセプトにしたポッドキャスト番組です。
先日(12月23日)、「『士業』の見極め方。税理士・弁護士、良い人は何が違う?」というテーマで配信され、本業にかかわるトピックであったため、早速拝聴しました。
そうしたところ、おおむね
1 法改正を常にフォローアップしていること
2 法改正を踏まえて、新しいスキームなどを提案できること
3 会社の事業に伴走できる交渉力があること
4 レスポンスが早いこと
の4点が揃っていればいい士業だ、というお話でした。
裏返せば、真逆の弁護士(法改正に疎い、提案営業できない、会社の事業に伴走できない、レスポンスが遅い弁護士)は経営者からは敬遠されるということでした。
このPodcast番組でも「弁護士もピンキリだ」という指摘があったように、司法制度改革によって法曹人口が激増し、毎年約1000人近くが弁護士登録している現状では、バッジを付けてからの自己研鑽によって、どれだけ付加価値を付けられるかが大きく問われる時代になってきています。
また、今年は、AI元年ともいえる年となり、生成AIに関する報道に多く接するようになりました。その中には、ChatGPTなどの生成AIによって将来的な弁護士業務は代替されるのではないかという指摘もありました。
しかし、弁護士として、リーガルマインドに基づいた助言をすること、また、依頼者の方のお気持ちにも配慮しながら望ましい解決を提案することは、まだまだ人間にしかできない仕事であると考えます。
今後とも、皆様に「良い士業だ」と評価していただけるように、今後とも良質なリーガルサービスを提供して参りたいと思います。
2023.08.30
【渡邊敬紘】コラム
有期労働者の無期転換権について
パートやアルバイトなどの有期雇用の労働者については、労働契約で定めた契約期間が終了すれば、使用者との労働契約も終了します。その後に、使用者が引き続いてその社員を雇用するかは本来であれば自由であるはずです。
しかしながら、労働契約法はこの点の例外を設けています。一つは、雇止め法理に関する労働契約法19条です。もう一つは、労働契約法18条です。この規定は、同じ使用者と契約期間が通算5年を超える労働契約を締結した有期雇用の労働者に、期間の定めのない雇用契約を結ぶ権利(無期転換権といいます。)を認めるものです。労働者がこの権利を行使した場合、期間の定めのない労働契約が成立することになります。
大学教員については、「大学の教員等の任期に関する法律」(大学教員任期法)という法律で、無期転換権の通算期間が5年から10年に延長されています。これは、大学側には研究開発のために多様な人材を確保する必要があるところ、通算5年で無期転換を認めると、こうした多様な人材を確保するという目的が達せられないことに配慮したものです。
この大学教員任期法の規定については、専ら学生の教育に携わる非常勤講師にも適用されるのかという争点が様々な裁判で争われています。今年1月にも大阪高等裁判所で、この問題点について判断した判決が下され、現在上告中です。
使用者側として、大学教員任期法の規定が非常勤講師にも適用されるかどうかによって、非常勤講師の労務管理の在り方にも大きな影響が生じますので、同裁判の行方を引き続き注視していきたいと思います。
しかしながら、労働契約法はこの点の例外を設けています。一つは、雇止め法理に関する労働契約法19条です。もう一つは、労働契約法18条です。この規定は、同じ使用者と契約期間が通算5年を超える労働契約を締結した有期雇用の労働者に、期間の定めのない雇用契約を結ぶ権利(無期転換権といいます。)を認めるものです。労働者がこの権利を行使した場合、期間の定めのない労働契約が成立することになります。
大学教員については、「大学の教員等の任期に関する法律」(大学教員任期法)という法律で、無期転換権の通算期間が5年から10年に延長されています。これは、大学側には研究開発のために多様な人材を確保する必要があるところ、通算5年で無期転換を認めると、こうした多様な人材を確保するという目的が達せられないことに配慮したものです。
この大学教員任期法の規定については、専ら学生の教育に携わる非常勤講師にも適用されるのかという争点が様々な裁判で争われています。今年1月にも大阪高等裁判所で、この問題点について判断した判決が下され、現在上告中です。
使用者側として、大学教員任期法の規定が非常勤講師にも適用されるかどうかによって、非常勤講師の労務管理の在り方にも大きな影響が生じますので、同裁判の行方を引き続き注視していきたいと思います。
2023.06.27
【渡邊敬紘】コラム
法人の倒産について
会社の倒産というと、多くの方にとってはマイナスのイメージを持たれている方が多いと思います。会社の資金繰りが上手くいかなくなり、事業を停止して借金の返済をストップし、従業員は全員リストラするというイメージではないでしょうか。
確かに、会社が破産した場合には、そうした事態が起こることは否定できません。しかし、会社の「倒産」には、破産以外にも「民事再生」という手続や、法的手続によらない債務整理などの手続もあります。これらの手続では、場合によってはスポンサーの助けも借りながら、借金の支払をストップしつつ、不採算部門を閉じ、採算部門の立て直しを行うことがあります。弁護士が会社の代理人となってこのような手続を申し立てる例もあります。
会社を破産して清算する以外にも、会社を再建するための手続もありますので、頭の片隅に置いておいて頂ければ幸いです。
確かに、会社が破産した場合には、そうした事態が起こることは否定できません。しかし、会社の「倒産」には、破産以外にも「民事再生」という手続や、法的手続によらない債務整理などの手続もあります。これらの手続では、場合によってはスポンサーの助けも借りながら、借金の支払をストップしつつ、不採算部門を閉じ、採算部門の立て直しを行うことがあります。弁護士が会社の代理人となってこのような手続を申し立てる例もあります。
会社を破産して清算する以外にも、会社を再建するための手続もありますので、頭の片隅に置いておいて頂ければ幸いです。
2023.06.02
【渡邊敬紘】コラム
建物賃貸借契約について
建物を他人に貸す場合、建物を貸して賃料を支払ってもらう契約(建物賃貸借契約、借家契約ともいいます。)を結ぶことが一般的ですが、この「建物賃貸借契約」には注意が必要です。
というのも、この建物賃貸借契約が結ばれると、賃借人は「借地借家法」という法律で強力に保護され、賃借人に建物の返還を求めるには、「正当の事由」が必要とされます。そのため、賃借人から立退きの際に多額の立退料を要求され、賃貸人とトラブルになるという例が後を絶ちません。
このようなトラブルを避ける方法として「定期建物賃貸借」を結ぶという方法があります。当事者で合意した期間が過ぎれば賃貸借契約が終了することを説明したうえで、賃貸借契約書を作成すれば、期間が満了すれば立退きを求められる、という契約です。
賃貸人にとっては便利な契約ですが、契約締結を行う際に、賃貸人・賃借人双方に注意すべき点もあります。弊所では、不動産関係のご相談も承っておりますので、不動産についてお困りのことがありましたら、弊所までご相談ください。
というのも、この建物賃貸借契約が結ばれると、賃借人は「借地借家法」という法律で強力に保護され、賃借人に建物の返還を求めるには、「正当の事由」が必要とされます。そのため、賃借人から立退きの際に多額の立退料を要求され、賃貸人とトラブルになるという例が後を絶ちません。
このようなトラブルを避ける方法として「定期建物賃貸借」を結ぶという方法があります。当事者で合意した期間が過ぎれば賃貸借契約が終了することを説明したうえで、賃貸借契約書を作成すれば、期間が満了すれば立退きを求められる、という契約です。
賃貸人にとっては便利な契約ですが、契約締結を行う際に、賃貸人・賃借人双方に注意すべき点もあります。弊所では、不動産関係のご相談も承っておりますので、不動産についてお困りのことがありましたら、弊所までご相談ください。